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もし逮捕されたらどう対応すればよい?

皆様、いかがお過ごしでしょうか。弁護士の本多芳樹です。

最近連日芸能人のコロナ感染のニュースが続きますが、猛暑の中いつまで続くのか……ってうんざりしている人も私も含めたくさんいらっしゃることと思います。

今回は、最近たまたま続けて何件か刑事事件を担当したので、刑事事件についてお話ししたいとおもいます。

逮捕・勾留ってどういうこと?

皆さんが実際に体験されることはないかとは思いますが、何が起こるのかわからないのが現代社会ですので、最初に逮捕・勾留されるというのはどういうことか簡単にご説明します。

何か罪を犯してそれが捜査機関に発覚して容疑が濃厚な場合、捜査機関に逮捕されます。

逮捕には、通常逮捕、緊急逮捕、現行犯逮捕があります。

簡単に言うと、通常逮捕とは令状による逮捕、現行犯逮捕、緊急逮捕とは令状によらない逮捕(犯行を現認して逮捕、犯行を現認した場合ではないが、令状をとってからでは犯人の身柄確保に支障をきたす場合に行われる逮捕)です。

警察に逮捕されると、最大48時間拘束され、取り調べを受け、家族や知人に会うことはできません。

そこで釈放されればよいのですが、釈放されない場合検察に送検されます。

検察に送検されると、検察官が取り調べをし、それから24時間以内に、勾留するかどうかを決め、勾留されない場合には釈放されます。

勾留とは、罪を犯した疑うに足りる相当な理由がある者で、住所不定ないし証拠の隠滅または逃亡のおそれがある者を、一定期間、拘禁することをいいます。

なお、逮捕されてから勾留前までの間は、被疑者は家族や知人とは会えません。この間に会えるのは弁護士だけで、当番弁護士という制度があるので、弁護士に知り合いがいない人でも、一度だけ無料で弁護士に相談ができます。弁護士に、家族や職場に連絡して事情を説明してもらう、被害者と示談をしてもらう、等を頼むことができます。また、当番弁護士にそのまま弁護を依頼することもできます。

勾留されるとどうなる?

勾留されると、原則として10日間、容疑を否認している、逃亡のおそれがあるなどして、延長されると最大20日間、警察署の拘置所等で身柄を拘束されます。

勾留されると、資力が乏しい被疑者は、国選弁護人(被疑者が弁護士費用を原則として負担せず、国が負担する制度)を選任することができます。その他の被疑者は、逮捕時と同様に当番弁護士を呼ぶことができますので、この段階で弁護士に弁護を依頼することができます。

勾留されると、弁護士以外でも被疑者と面会ができるようになるのが原則ですが、面会・差し入れには、時間や差し入れできる品物の制限があったり、非常に不自由な生活を強いられます。警察署によってルールが違うみたいですが、例えば、1日に差し入れできる本(過激な性表現があるものはダメ)は3冊まで、面会できる時間は30分以内、差し入れできる衣服はひもがついていない丸首のものに限られ、パーカー類はダメ、筆記用具はダメ、等です。

また、共犯者がいる事件で罪証隠滅のおそれがある、余罪がある、等の理由で勾留後も接見禁止がついている場合には、勾留後も弁護士以外と面会することはできません。

弁護人の活動

被害者がいる犯罪で示談が成立し、被害者が被疑者の処罰をのぞまない場合には、釈放される可能性が高まります。

したがって、勾留期間中に示談を成立させることがとても重要な弁護活動となります。

起訴された場合

起訴されてしまうと、被疑者の立場は被告人とかわり、裁判により有罪・無罪が決まるまで勾留され続けるのが原則です。もっとも、裁判が終わるまで一月以上かかり、被告人の負担が大きいので、被告人となると、保釈金を支払い、裁判所に保釈が認められた場合には、身柄が解放されます。芸能人等が保釈で警察署から出て謝罪している、というニュースを見たことがある人もいるかと思います。

保釈金は、被告人の資力によって決まり、芸能人等では高額となることも多いのですが、保釈金を貸してくれる機関もあるので、必ずしもお金がある人だけが利用できる制度ではありません。

日本の刑事裁判の場合、9割以上の確立で有罪となります。これは、検察が確実な証拠を集め、有罪となる見込みが極めて高い犯罪に限って起訴しているからだと言われています。

したがって、起訴されると有罪となる可能性が極めて高いです。テレビドラマや映画のように有罪がひっくりかえって無罪となるということは、弁護側で有力な証拠を集めて立証できれば別ですが、現実にはほとんどないです。

刑事事件の弁護士費用ってどれくらい?

刑事事件を当番弁護士から受任した場合、弁護士会で報酬基準が決められており、被疑者段階の着手金が20万(税別)、報酬金が30万(税別)、被告人段階の着手金が30万(税別)、報酬金が30万(税別)です。

報酬金は、示談が成立して釈放された場合、裁判で無罪となった場合、等一定の成果が発生した場合にのみ発生します。

当番弁護士から受任した場合ではなく、被疑者の家族が弁護士を頼んだ場合や被疑者が自身の知り合いの弁護士に頼んだ場合には、その弁護士との協議により弁護士費用は決まります。

なお、国選弁護は国の税金により賄われるものなので、支払われる報酬は非常に低いです。

刑事手続きの流れ

今までお話しした刑事手続の流れを図にすると、このようになります。

刑事手続きの流れ

さいごに

今回は、普段あまり体験することがあまりないが、いざ体験した場合には知っておいた方がよいテーマである刑事事件についてお話しました。 それでは、また来月も宜しくお願い致します。

もし逮捕されてしまったら!? ご相談はこちら

二子玉川総合法律事務所
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TEL:03-5797-9572(直通) 03-5797-9531(代表)
E-mail:y.honda@nikotama-law.com

この記事を書いた人

株式会社三善屋

本多 芳樹(ほんだ よしき)

埼玉県出身。現在東京都在住。弁護士歴12年。
労働問題を専門とする弁護士事務所で長年勤務した後、2年前に独立。現在は労働問題を中心に民事事件全般を手掛けている。趣味は、フットサル。最近の趣味は、ゴルフのコースデビューを目指して、レッスンで練習中。


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