こんにちは。ヒトノワ編集部の平澤です。
新型コロナウィルスがパンデミックとなり、様々なところで問題やトラブルが発生していますね。僕も家のトイレットペーパーが残り3ロールになった時には本気でどうしようかと心配しました(笑)
さて、こんな大変な世の中ですが、2020年4月1日より法律(民法)が一部改正されることを皆様ご存じでしょうか? 調べてみたら、なんと120年ぶりの大改訂らしいです。120年前(1900年)というと、まだ明治時代ですよ…そりゃあ今の世の中に合ってない内容なので、改正して然るべきですね。というか、よくここまで変わらなかったなぁ、と(苦笑)
民法が変わると、僕たちの生活にどんな影響があるのか? 僕は法律の専門家ではないですが、仕事柄かかわるところもありましたので、ざっとまとめてみました!
改訂のポイントは4つ
今回の改正は大きく4つに分かれるそうです。
- 法定利率の変更
- 時効制度の変更
- 相殺禁止の緩和
- 個人根保証契約の限度額設定
「なんのこっちゃ?」と思う方がほとんどだと思いますが、僕の仕事でかかわってくるのは1〜3ですので、もう少しかみ砕いてみたいと思います! ちなみに4は不動産業界が関係するそうですよ。
1. 法定利率の変更
今回の改正で5%から3%に引き下げられ、3年ごとに見直しとなりました。
法定利率とは「賠償金などの支払いが遅れた場合に、年利5%で利息が乗る」というものです。 そのため、損害賠償請求された場合、支払いが遅れると5%という今の時代で考えるととんでもなく高額な利息が発生してしまいます。そこで、時代に合わせた法定利率を制定しましょう、ということになったみたいです。
では、これが平澤の仕事の何にかかわるのでしょうか?
わかりやすい例でいけば、交通事故です。
自動車に当てられて自分がケガをした、自転車で人をケガさせてしまった、などの対人事故の場合に、この数字がかかわってきます。結論から言うと、もらえる保険金が増えます。
ケガなどをして入院以上のことが発生した場合、健康であれば働いて稼げたであろう給金(『逸失利益』といいます)を計算し損害賠償金額などを決めるのですが、その計算に「ライプニッツ係数」というものを使用します。このライプニッツ係数の計算にも法定利率がかかわってきています。
ライプニッツ係数とは、交通事故などの人身障害事件における損害賠償のなかで、長期に発生する介護費用や就労機会喪失や減少による逸失利益など、時間と関係する賠償金を一時金に換算する方法である。法定利率で定められた固定5%を用いた期末払いの複利年金現価である。「ライプニッツ」とは、16世紀のドイツの数学者ゴットフリート・ライプニッツにちなむ。
引用元:ライプニッツ係数 – Wikipedia
そして、賠償金を保険で対応する場合、一括で年利を控除して支払うのですが、年利が減る=控除額が減るということなので、もらえる金額が増える、ということになります。
もらえる金額が増える、ということは保険会社の支払いが増える、ということになるので、保険料が上がっていくかもしれませんね…。
また、損害賠償における給与部分計算に使用されるので、労災事故における労使間紛争でもかかわってくることが予想されています。経営者の悩みの種が増えるかもしれませんね…。
2. 時効制度の変更
「債権者が権利を行使できることを知った時から五年間」という時効消失のタイミングが追加されました。
つまり、損害賠償請求をする場合、今までは10年間は大丈夫だったものが、5年になってしまうこともある、ということです。
まぁ、請求する場合そんなに放っておくことも無いとは思いますけどね。
3. 相殺禁止の緩和
今までは損害賠償に対して相殺は禁止となっていたのですが、一部の条件下で相殺が認められるようになりました。認められない主なケースは以下の通りです。
- 悪意による不法行為に基づく損害賠償
- 人の生命又は身体の侵害による損害賠償
これにより、交通事故などの物損で修理費用を相殺し、支払いを免れることができるようになりました。
東京都の条例も変わります
同じタイミングで東京都の条例も変わるんですねぇ。都民は大変です(笑)。大きく分けて2つあります!
1. 改正健康増進法及び東京都受動喫煙防止条例
これは結構有名ですよね。いわゆる「原則屋内禁煙」条例ですね。
従業員数やお店の広さなどにより、完全禁煙なのか喫煙ブースなどの分煙なら大丈夫なのかが決められており、加熱式たばこならオッケーというところもあるようです。
2. 自転車保険の加入義務化
元々東京都は自転車保険(相手への賠償保険)への加入が「努力義務」だったのですが、ついに義務化になりました。意外と既にご加入の損害保険に特約(オプション)で付いていることもあるので、一度確認してから自転車保険に加入したほうがオススメです。
ちなみに、義務化されている都道府県は以下の通りです。
●義務化
東京都、埼玉県、神奈川県、静岡県、長野県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、鹿児島県、愛知県(名古屋市)、石川県(金沢市)、宮城県(仙台市)
●努力義務
北海道、千葉県、群馬県、鳥取県、高知県、徳島県、香川県、愛媛県、福岡県、熊本県
※2019年10月現在
さいごに
いかがでしたでしょうか?
僕も仕事が保険業なので興味を持って調べていますが、知らないことや「へぇ~そうなんだ~」みたいなことが多かったと思います。
120年ぶりの大改訂ですから、これを機に調べてみるのも面白いかもしれませんね!
この記事を書いた人
平澤 一馬(ひらさわ かずま)
東京都世田谷区出身
保険業界6年目
20代前半に声優・舞台俳優をめざし養成所や小劇団に所属していた。
その時の経験を活かして「どうやったらわかりやすく伝わるのか」をモットーに営業しております。日々勉強。