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コロナ離婚って必ず認められるの?弁護士が解説します

皆様、いかがお過ごしでしょうか。弁護士の本多芳樹です。

ついに、緊急事態宣言解除されましたね。ただ、まだまだ都心では感染者がいなくなったわけではないですし、コロナの第二波が来るとの話もありますし、これまで通りの生活がすぐに戻るということはなさそうですね。少しでも早く経済も含め日常が戻ってくることを私は祈っています。

それでは、最近よく耳にするコロナ離婚についてです。

コロナ離婚って何?

まず、コロナ離婚とは何かということですが、法律上の言葉ではないので、法律に定められているわけではありません。コロナ禍で在宅勤務・リモートワーク・休業等が増え、夫婦がこれまで以上に一緒に過ごす時間が増えて、離婚が社会的に増加していることを総称して、コロナ離婚と呼ばれているという理解でよいと思います。それでは、コロナ禍で離婚するとしてどのような場合が法律上認められる離婚なのかを考えていきたいと思います。

離婚が認められるのってどんな場合?

離婚には、以下の4つがあります。

  • 協議離婚
  • 調停離婚
  • 審判離婚
  • 裁判離婚

協議離婚

協議離婚とは、婚姻中の夫婦が離婚の合意をするもので、法定の離婚原因は必要ありません。夫婦がお互いに合意すればどのような理由であれ離婚できます。

簡単に言えば、夫婦がお互いに話し合って納得して、離婚届けを役所に提出して離婚する場合です。

ただし、未成年の子がいる場合は、子の親権者を父か母のどちらか一方に定める必要があります。

調停離婚

協議離婚が成立しない場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立てる必要があります。これを調停離婚といいます。

日本の法律では、原則として離婚については、訴訟に先立ち家庭裁判所に調停の申し立てをしなければならず(調停前置主義)、いきなり訴訟を提起しても調停に回されます。

例外的に、相手方が行方不明、外国に居住していて離婚の協議ができないような場合には、調停手続きを経ずに直ちに離婚の訴えを提起することができます。調停離婚にも、協議離婚と同様に法定の離婚原因は要求されていません。

審判離婚

審判離婚とは、調停中の離婚事件で、調停成立の見込みはないが、なお審判が相当である事案につき、家庭裁判所が調停に代わる審判により離婚を成立させるものです。

少ないですが例を上げます。

  • 離婚について実質的合意ができていても、当事者の一方が遠隔地にいたり、入院していたりして調停に出席できない場合。
  • 離婚自体については合意ができていても、親権者・監護権者の指定、養育費、財産分与などの付随的部分について合意ができないが、裁判所の判断に従う意向を当事者が示している場合。
  • 外国人と日本人、又は、外国人同士の離婚において、離婚について合意ができていても、当該国の法律が協議離婚を認めておらず、離婚がその国でも有効とされるために裁判所が離婚を判断する必要があるような場合。

裁判離婚

裁判離婚とは、調停が不成立となった場合等に、家庭裁判所に離婚訴訟を提起することにより、裁判手続で離婚を成立させる場合のことをいいます。

法定の離婚原因は、以下の通りです。

  • 配偶者に不貞な行為があったとき
  • 配偶者から悪意で遺棄されたとき
  • 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  • 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

1の不貞行為とは、配偶者のある者が自由な意思に基づいて、配偶者以外の者と「性的関係」を結ぶことをいい、具体的には、不倫がこれに該当します。

2の悪意の遺棄とは、夫婦共同生活を廃絶しようと積極的に企図し、若しくはこれを認容して夫婦共同生活を行わないことをいい、具体的には、夫婦の一方が自ら相手方や子どもを捨てて家出をしたり、相手方を虐待その他の手段で追い出したり、あるいは相手が家出をせざるを得ないように仕向けて復帰を拒んだりして、同居をしない場合などのことです。

4の精神病とは、幻想や妄想などによって現実と非現実との区別がつかない症状であり、人格変容、意思伝達能力の欠如、日常生活能力の喪失等を伴います。具体的には、統合失調症、双極性障害(躁鬱病)、偏執病(パラノイア)、初老期うつ病などです。アルコール依存症、麻薬中毒、ヒステリー、神経症(ノイローゼ)、認知症も該当しません。

5の婚姻を継続し難い重大な事由とは、1~4以外の事由の総称で、暴力や虐待等で夫婦関係が破綻した場合に該当します。逆に単なる性格不一致や愛情の喪失は該当しません。

もっとも、1~4の事由に該当したとしても、裁判所が婚姻を継続するのが相当と判断した場合には離婚の請求が認められない場合もあります。

コロナ離婚の内、裁判で認められるのはどの場合?

まず、前提として、夫婦がお互いに離婚に同意して、協議離婚が成立すれば、どのような理由であれ離婚は成立します。これは、コロナ禍だろうが何が理由であろうが同じです。

それでは、コロナ離婚のうち、どのような場合に裁判で離婚が認められるでしょうか?

コロナ離婚は、前述の法定離婚原因には該当していないので、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかどうかということが争点となります。

単に、コロナ禍により、相手の嫌な言動等が目につき、幻滅して愛情を喪失した場合や性格が合わないと感じた場合には、婚姻を継続し難い重大な事由に該当すると判断される可能性は低いです。

それに加え、コロナ禍により、夫婦で在宅で一緒にいる時間が長くなり、他方配偶者からの暴力・虐待(身体的な暴力に限りません、暴言・無視等の精神的な暴力も含みます。)に耐えられずに離婚したいというような場合には、婚姻を継続し難い重大な事由に該当すると判断される可能性は高いと思います。

さいごに

コロナ離婚といっても、裁判で認められるかという観点からみると、暴力・虐待を伴う場合等、限られた場合である可能性が高く、結構ハードルが高いということをご理解いただければと思います。

それでは、また来月も宜しくお願い致します。

コロナ離婚でご相談の方はこちら

二子玉川総合法律事務所
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この記事を書いた人

株式会社三善屋

本多 芳樹(ほんだ よしき)

埼玉県出身。現在東京都在住。弁護士歴12年。
労働問題を専門とする弁護士事務所で長年勤務した後、2年前に独立。現在は労働問題を中心に民事事件全般を手掛けている。趣味は、フットサル。最近の趣味は、ゴルフのコースデビューを目指して、レッスンで練習中。


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