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副業での脱税に注意!給与以外の収入に対する課税申告のいろは

こんにちは。
税理士法人アンサーズ会計事務所 税理士の野上浩二郎です。

働き方が多様化する中、正式に「副業OK」とする企業も出てきています。本業できちんと仕事をしたうえで、空いた時間を有効利用してプラスアルファの収入を得られるのは良いことですね。

しかしここで注意をしなければいけないのが、税金の課税の問題。

日本の税金は「自己申告制」

サラリーマンであれば、会社からのお給料にかかる所得税は、毎月会社が源泉徴収することにより納税を行い、最後に会社が行う年末調整で計算が完了し、税金の納付や還付が自動的に行われます。また、住民税も通常は「特別徴収」が採用されているため、同様に、自動的に会社のお給料から引かれ、自分で計算する必要はありません。

一方、副業で、会社のお給料以外の収入が発生する場合には、原則的に自分で確定申告をする必要が生じます。

税金は自己申告制が採られているため、「知りませんでした」では済まされません。本来申告すべき人が申告をしないでいると、税務署から連絡が来て、後で罰金(加算税、延滞税)まで課税されてしまう可能性もあります。

では具体的にどんな場合に申告が必要なのか、Q&A方式で見ていきたいと思います。

Q1
私はデザイン事務所に勤めています。 今年、友人からプライベートでデザインの依頼があり、会社を通さずに個人で依頼を受け、10万円の代金を受け取りました。 この収入は申告の必要がありますか?

申告は必要ありません。
給与所得者(サラリーマン)の場合、本業のお給料以外の所得(≒利益)が年間20万円以下であれば、申告は不要とされています。

Q2
私は運送業の会社に勤める傍ら、週2日、飲食店で働いており、どちらの会社からもお給料をいただいています。お給料は会社で源泉徴収をしてくれるから自分で確定申告をしなくて良いと聞いていますが、それで良いんですよね?

申告が必要となります。
給与所得者は会社で年末調整をして税金の計算を行いますが、2か所以上で勤務している場合には、年末調整では税金の計算が完結しないため、確定申告の必要があります。

Q3
昔加入した保険が満期を迎えて、300万円の満期返戻金を受け取りました。 臨時収入がある場合には申告が必要と聞いたのですが、私は申告の必要がありますか?

払い込んでいた保険料の額により、申告の有無が決まります

保険の満期金等の臨時の所得は「一時所得」として課税されます。「一時所得」は、『{(収入-その収入を得るために支出した金額)-特別控除50万円}×1/2』という計算式で求められます。

単純に入ってきた「収入」に課税されるわけではない、ところがポイントです。

例えば、これまで払い込んだ保険料の累計が200万円だった場合、払い込んでいた保険料よりも受け取った満期金の方が多く、儲かっていることになります。

{(300万円-200万円)-50万円}×1/2=25万円が一時所得となり、これに対して課税されます。

一方、これまで払い込んだ保険料の累計が400万だった場合、受け取った満期返戻金よりも払い込んでいた保険料の方が多い(=儲かっていない)ことになるため、税金は課税されません。

Q4
競馬の最終レースで万馬券を当てて、1万円で買った馬券が100万円になりました。 ただ、今日は他のレースでは惨敗で、累計では120万スッてしまったので、儲けは無し、という理解で良いですよね?

申告が必要となります。
競馬の当選金も「一時所得」となります。一時所得の計算上の「その収入を得るために支出した金額」というのは原則的に個別対応です。それまでにいくらハズレ馬券を買っていても、それは別のレースの話なので、あくまで今回の儲けは、100万-1万=99万、ということになりますので、課税の対象となります。

Q5
宝くじでなんと1,000万円も当たりました。 臨時収入で儲かったのは良いのですが、確定申告をするとかなり税金を取られてしまうのでしょうか?

申告は必要ありません。
宝くじによる収入は非課税とされていますので、税金はかかりません。

Q6
昨年副業で収入があったのですが、申告をしていません。 税務署から何も言われていないからバレていないということで、何もしなくて大丈夫ですよね?

申告が必要となります。
税金の時効は5年です。(悪質な場合は7年)

申告漏れにつき、何も指摘を受けていなくても、3年後に税務署の調査があり、3年分遡って追徴される、ということもあります。

申告漏れがある場合に、期限が過ぎた後であっても自主的に申告をした場合と、何もしないまま税務署から指摘を受けた場合では課税される罰金の額に違いが出ます。

申告漏れに気付いた場合には、早めに自ら修正手続きをすることをお勧めいたします。

まとめ

この他、不動産の売却で利益が出た場合、仮想通貨の取引で利益が出た場合、など、申告納税の必要が生ずる可能性があります。

臨時の収入があった場合には、税務署や税理士に相談のうえ、誤った処理をしないように注意しましょう。

この記事を書いた人

税理士 野上浩二郎

税理士法人アンサーズ会計事務所
代表社員 税理士 野上浩二郎

吉祥寺で相続業務を専門に扱う税理士法人の代表税理士。年間30回を超える税務セミナーや、大手資格予備校の実務講座の講師も務め、難しい税金の話をわかりやすく伝えることに定評がある。

税理士法人アンサーズ会計事務所
http://www.ans-tax.jp


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