ビジネス

デザイン

アソビ

ライフ

ヒトノワの交流会

「ありがとうのために」株式会社東京プラニング代表 長尾睦子

こんにちは。ヒトノワ編集部の平澤です。
ヒトノワビジネスインタビュー第三弾です!

今回は分譲マンションの管理組合向け新聞を発刊している長尾睦子さんにお話を聞くことができました。 具体的にどのようなお仕事なのでしょうか?それではいってみましょう!

不動産コンサル・組合の運営支援 株式会社東京プラニング

──会社名と業種をお聞かせください。

株式会社東京プラニングと申します。
1967年にマーケティングリサーチ会社として創立しました。不動産のコンサルティングをしている中で、集合住宅を購入した方々がその維持管理に困っていることを知り、1982年から集合住宅に住んでいる人たちに管理の情報を届ける新聞として「アメニティ」という新聞を創刊しました。現在は大規模修繕の企画・周期や、そのための修繕積立金不足などの建物の管理から法律相談まで新聞という媒体を通じて幅広い情報を配信しています。不動産事業と新聞事業を行っています。

──競合他社はあるのでしょうか?

アメニティ新聞は、はっきり言うと競合他社はありません。
管理会社の情報誌というものはありますが、建物の管理が中心となるため、弊社のような理事会や住民の方々の意識改革をさせるような情報紙はないと思います。

分譲マンションを購入する際、購入=マンションの管理組合員になることを意識せず購入するのが普通です。なかなか販売不動産会社もそこまで説明しませんから。

そうすると運命共同体の意識がないのが実情なんです。誰かがやってくれるではなく、管理組合員としてすべきことがあるという事を正しく発信しなければならないと不動産のマーケティングが主業務だった時代に思ったんです。

購入したマンションを終の棲家にしたいとライフスタイルや意識も変わってきているので「どうやって幸せな一生をすごせるか」というご提案もしております。その一環として、リバースモゲージや住み替えというハードの面だけでなく、断捨離のすすめや料理研究家として健康増進に関する記事配信などもおこなっています。

アメニティ

1982年創刊の集合住宅管理新聞「アメニティ」。毎月5日に発行される。

第三の人生としての就任

長尾睦子

──長尾さんは起業されたのではないのですか?

はい。先代とは血縁関係はなかったのですが、ご縁いただきまして、現在の地位に就いております。代表の登記をして10年くらい経つのですが、実務として旗を降り始めたのは3年くらいですね。

私の略歴は学校出て三井物産という会社に就職しまして結婚を機に退職しました。その後、専業主婦時代に夫のアドバイスもあり、宅建などの様々な資格を取得しました。

次男の中学入学を機に就職先を探すためにハローワークに通い、不動産業界へ入りました。その後は対不動産業者向けのBtoBの新聞をやっていた主人の会社で手伝い、その後BtoCの新聞を発行する現在の会社に入りました。

社会復帰をするように私を後押ししてくれたのが「生まれてから20年は親の子として生きた。次の20年は子の親として生きた。これからの20年はおまえの次の人生だ」という夫の言葉です。

「就職先を探すのも勉強、クライアントを探すのも勉強、クライアントを知るのも勉強」というアドバイスも活きていると思います。今振り返ってみると、自分で選んだ人生というより夫にだいぶレールを敷かれた気もしますけど(笑)

ただ、専業主婦をやっていた経験が今の仕事に非常に役立っています。実際に住んでいる方々に向けて生活者目線でスポットをあてながら情報を発信していけるとおもいます。

「ありがとう」のために

長尾睦子

──現在のお仕事をしていて、嬉しかったことは何ですか?

新聞の読者や不動産のお客様から「ありがとう」のメッセージが来ることですね。

アメニティの話になりますけど「管理ってわからない」「いつ大規模修繕したらいいかの判断がわからない」「やらなきゃいけないのはわかっているけど、組合員同士で意見が違い、悩んでる」というところへアドバイスを含め、一方的な意見ではなく、読者が「何をもとめてるか」「どうやったらみんなが幸せになるか」を考えながら、手作り感あふれる新聞を作っています。

実は、平米数によって管理組合の議決権割合って変わるんです。1LDKと5LDKでは5LDKにお住まいの方の方が議決権は多いです。その分、修繕費の割合も増えてくるとか、委任状に捺印がなかったら無効になるのか?排水管の寿命はどのくらいあるのか?騒音問題など取り上げる記事は多岐にわたります。

マンションは管理で買えという言葉もあるように良好な管理をする事は 資産価値を高めることにつながり、売却しやすくなるなど。 不動産にまつわるご相談に乗ったり、しっかりと合意形成をして建物のメンテナンスなどをする重要性を伝え、マンションライフ全般をお伝えできる新聞をつくりたいです。

「いまだけではなく、未来を、遠く見て」という想いを込めて情報を発信しています。そして問題が解決すると、皆様から直接「ありがとう」を感じることができるんです。 そんなことを心がけて仕事をしています。

──逆に苦労していることはありますか?

広告が全然取れないときですかね(笑)
紙離れが進んでいる中で新聞の読者数を増やすのはむずかしいし、基本住人の方々にはフリーペーパーとして配達しているので、キャッシュポイントを見つける事でしょうか。喜んでもらうだけでは、慈善事業になってしまいますから。

ホームページで情報を無料で情報公開しているのですが、20年分の情報をいまさら課金制にできないんです。そこも苦労しているところですね(笑)

情報誌ではなく啓蒙誌として

長尾睦子

──これから長尾さんのような仕事を始めたいという方に向けて、何かアドバイスできることがあれば教えてください。

現状をきっちり把握して、自分なりにそれをこなしてから発信してください。このご時世、ネットがあるので、あるがままの情報をそのまま発信しても意味がないんです。

読者である管理組合の人たちがきちんと考えて結論を引き出せるような情報発信したほうがいいですね。情報をそのままおろすのではなく、サジェスチョンになるような書き方、情報発信をきっちりしたほうがいいです。

私たちはどこかの宣伝をしているのではないので、一言一言、言葉をちゃんと選んで発信しています。単なる情報紙ではだめなんです。自分でやろうと思ってもらわなければ一歩も前に進まないという事を気づいてもらうための啓蒙紙である必要があると思っています。

──どのような業種と一緒に仕事することが多いのでしょうか?

紙面は取材記事によって構成されますので、国交省、東京都、県などのマンションに関わる部署の方々、管理会社、修繕会社、NPO法人、マンション管理士、コンサルタント、各種士業の方々、お困りごとのある住民の方々です。マンションの現状把握から色々なことがスタートするので、基本は情報収集です。

相談や検査などを経て業者に引き継ぎ、実際の修繕計画に進みます。

全部まかせるのではではなく、自分たちで運用していけるように資金調達の方法、補助金などの有効活用などの情報もお伝えしています。その困りごとに対してアドバイスをして、その先の業種の方たちに繋いでいきます。

あと、今一番繋がりたいのは広告主になってくださる方ですね(笑)

未来を見据えて、バトンを渡す

長尾睦子

──最後に、これからの意気込みをお願いします。

今はいいと思っている新しいタワーマンションなんかも、未来はわかりません。何年か後には現在ニュータウンで起こっているのと同じような問題がやってきます。入居者の世代構成が似通っていると、同様に住民の高齢化率が高くなっていきますし、多世代同居がしにくい居住形態なので、高齢者の単身世帯の問題も出てくると思います。運命共同体としてのコミュニティー形成の必要性も伝えたいです。年金暮らしになった時の管理費や相続が発生したときどうするのか、未来の建て替え、滅失など考えなければならない等々問題は山積みです。

人口減少の中で日本という国がこの体制をどの様に維持していくのか。「衣・食・住」の本当の根幹となるのが「住」です。政策にたいして疑問をもちながら未来予測をきっちりとして考えていくことが大切だと思います。

私どもの仕事は今まで以上に需要があるのではないかと思っています。マンションはいっぱいありますので。地方に行くと未だに戸建てが多く、日本全体では1割程度しかマンションってないんですが、都心には増えていく一方です。

右肩上がりではないこの時代を、これからの未来を担う子供たちや次の世代にに向けてどう伝えていくか。バトンタッチしていくのが私の仕事だと思っています。

人生100年時代。ちょうど中間年代だからこそ、さらに上の世代の人や下の人世代に伝えていきたいです。

次の世代、未来に向けての情熱を非常に感じました。本日はありがとうございました!

会社情報

会社概要 株式会社 東京プラニング
所在地 東京都中央区日本橋茅場町2-4-10 大成ビル
TEL:03-3666-1973
主な業務 集合住宅管理新聞「アメニティ」の発行
不動産の評価・コンサルティング業務等
URL http://www.mansion.co.jp

この記事を書いた人

平澤 一馬

平澤 一馬(ひらさわ かずま)

東京都世田谷区出身
保険業界6年目
20代前半に声優・舞台俳優をめざし養成所や小劇団に所属していた。
その時の経験を活かして「どうやったらわかりやすく伝わるのか」をモットーに営業しております。日々勉強。

写真を撮った人

伽賀隆吾

伽賀 隆吾(かが りゅうご)

北海道出身。現在は東京都在住。
車両撮影の照明会社に就職、同社のライトマンからキャリアをスタート。のち写真部と兼任で修行後フリー。職業カメラマンとして活動しながらギャラリーバーPaper Poolにて展示企画・運営・なんちゃってギャラリスト・炊事なども行っている。


この記事をシェアする

人気記事

キーワード